人類が発明してきた道具は、すべて身体の拡張と考えられる。工具や重機は「腕力」を、馬や自動車、飛行機は「脚力」を拡張し、人類は自然をつくりかえ、移動範囲を広げ、時間的な制約を縮小してきた。そしてコンピューターによって「記憶力」や「思考力」すらも拡張した。

複雑で繊細、かつ力強い動きが可能な人間の「手」は、人が持つ創造性を具現化するための、いわば「究極の部位」のひとつ。もし人間に、身体を補完する「もうひとつの手」が装着されたとしたら、どんなクリエイティビティティがもたらされるだろうか？　

MELTINの開発するサイボーグ技術は作業の遠隔化(アバター)をも実現する。これにより、危険環境、深海、宇宙空間など、生存が困難な場所でも、人間が立ち入って作業することが可能となる。身体機能の遠隔化は、新たな産業改革をもたらし、人類の空間的・時間的な制約を再定義する。

MELTINは近い将来、人が持つ身体の構造自体を自在に改変し、自身が望む身体への拡張を進めていく。そこでは、センサーを装着して五感を超える知覚を取り入れたり、脳をデジタル化することで世界中のネットワークにアクセスするようになる。

様々なサイボーグ技術が開発されることで、一人ひとりが「好きな身体」を選択できるようになる。環境によって柔軟に変化する身体、またはある機能に特化した身体などが生まれ、人類はホモサピエンスを超えた種へと進化し、多様な個体が生まれるだろう。